*本投稿はTechWave様への寄稿との掲載です。

去る5月12日、インドネシア、ひいては東南アジアで最もスタートアップに熱狂的な街の一つといって過言でないバンドンにおいて、弊社と同国の理系トップ大、バンドン工科大学(ITB)との共催によるスタートアップイベント「Technopreneur Talk」を開催した。

会場をほぼ満員に埋め尽くす200名を超えるオーディエンスを迎え、成功裏に終えることが出来た。ひとえに遠く日本からお越しいただいた方々を含めたゲスト、海外から駆けつけてくれたスピーカー、そして準備に奔走してくれた学生スタッフたち全員のご協力の賜物である。改めて関係者各位に感謝申し上げたい。

主催者としての視点、そして6時間に渡るこのワンデイイベントを自ら十分に楽しんだ一参加者としての視点で、当イベントTech Talkについてリポートしたい。

Teck Talkでは
・東南アジアのスタートアップによる、スアートアップのための
・実体験のシェア

を主眼としている。
今後とも、東南アジアの他の都市、国での開催も検討していく予定であり、中国でもインドでもない「東南アジア的」起業環境のもとでの成功/失敗体験をシェアすることで、エコシステムの発展に寄与していきたいという狙いである。

特に「実体験のシェア」には、徹底的にこだわったつもりだ。

トップバッターは、シンガポールからのスピーカー、Lichi Wu

AdmobからGoogleを経て、シンガポールでは名の知れたスタートアップ Chalkboadまで、過去に彼が参画したスタートアップで経験した「失敗」について、生々しく語ってくれた。
Chalkboardはつい先ごろウェブサイトをクローズし、現地でファウンダーらによる「Closing Party」が華々しく行われた)

続いて、昨年インドネシアで初のネット系IPOを果たした VIVAnews.com のファウンダ CEO Karaniya Dharmasaputra氏が登壇。

氏は、同社の創業動機について「それは怒りであった」と、その独特の深く太い声、内なるパッションを感じさせる語気で語った。
「それまで我が国ではネット系ニュースメディアは”二流”と見做されており、二次情報やでたらめばかりであった。」しかし米国渡航で、紙メディアと変わらない良質なネットメディアを目の当たりにして奮い立ち、大手メディアTempo の看板記者というポジションを捨て、仲間数名とともに創業、それからなんとわずか4年でIPOを果たしている* 。

*VIVAホールディングにはVIVAnewsの他にテレビ局など他事業部門がある。IPOしているのはホールディングである。

第2部のセッションでは、アジアのスタートアップシーンではもはや欠かすことの出来ないニュースメディア Tech in Asia (元Penn Oslon)のファウンダー Willis Wee 、そしてインドネシアで最も人気のあるテックメディア Daily social ファウンダ Rama Mamuayaが、いずれも現役バリバリの記者として、また自らも会社を率いる起業家として登壇し、会場を大いに盛り上げてくれた。

オーディエンスの年齢に近く、テック好きの若者の間では有名人である彼ら2名の起業家の登壇は、さしずめヒーローが自分たちのキャンパスにやって来た、といった雰囲気だ。

Willis の起業は、「朝飯が食えたら昼飯は抜き、ランチがあるなら朝飯は食わない」という幼少時の貧乏な境遇によるところが大きく、5歳の頃から物の売り買いで生計を立てるなかで商売を覚えたそうだ。
そこから若干24歳で、アジア最大規模のテックメディアを構築するに至った経緯を、独特の軽快なトークと、時に眼光鋭く核心に迫る面持で、語ってくれた。

Ramaは、同国スタートアップ界隈の人気者である。
爆笑や共感をオーディエンスから巧みに引き出しつつも、クレイジーなまでの仕事へのこだわりや、敏腕記者ならではのスタートアップについての一家言を、熱く語ってくれた。

さて今回自らもスピーカーとして登壇するにあたり、改めて気づいた事が一つある。

それは、「自分の経験をシェアする事は、案外難しい」という事だ。

メディアも入り、数百名のパブリックなオーディエンスがいる前で実体験を語ることは、はたから考えるより実はかなり至難の業だ。
というのも、あたりまえだが実体験とは、実存する人物や会社に起こる事実である。

したがって大なり小なり、誰かしらに、利害関係がある。
しかもそれを客観的に淡々とではなく、その時に感じた痛みや喜びをオーディエンスに伝えようとする場合、当時その場にいた別の人はその出来事に対して自分とは全く違う解釈や感情を持っている場合だってある。
それをあえて、パブリックな場で「主観的に」語らなければならない。
しかしそれこそが「実体験のシェア」であり、難しいがゆえに希少価値が高い事なのだ、そのことに今回改めて気付かされた。

今回お招きしたスピーカー達はそれを巧みに、大胆に、こなしてくれた。
それもひとえに、オーディエンスの大半を占める、これから本格的な船出を迎える若手起業家達へ貢献したいという一心ゆえであったと思う。

微力ながらも本イベントを通じ現地のスタートアップエコシステムの発展に貢献できたなら、幸いである。

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