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いま「AI銘柄」を挙げよ、と言われて真っ先に名前を挙げるべき一社はこの、NVIDIA エヌビディアだろう。

 

しかしエヌビディアとはその実、画像処理のためのチップを設計開発している会社であり、主たるエンドユーザはゲーマーである。AI、AIと言われるが少なくとも今現在の収益的にはその大半はゲーム用途のPC・専用機向け集積回路セット(GPU)を作っている会社である。ちなみに任天堂SwitchはNvidiaとの共同開発であり、GPU提供のみならずソフトウェアレベルの設計等にも参画している。

nvidia q revenue

直近発表の四半期売上高推移

この通り収益の50%超がゲーム向けであり、これが全体の利益を年率2.5倍と驚異的に押し上げている。

またデータセンター向けも伸びており全体の20%程になっている。アマゾンAWS、マイクロソフトAzure、IBM、アリババなど主要クラウドサーバに軒並み採用されている。

一方で話題となっている自動車系は実のところ10%にも満たない。自動車各社だけでなく同社にとっても未だ先行R&D投資といったところが実態である。

とはいえエヌビディアは先日のトヨタだけではなく、テスラ、ダイムラー、ボルボや、大手自動車部品ボッシュ、ZFなどほぼ全てと言ってよいほど自動車産業の主役たちへ導入されている。なぜか?

物理的な世界において最も情報量が少ない対象が数字(記号)であり、最も多いのが画像とりわけ動画である。GPUとは画像処理に特化した集積回路のセットである。ゆえに自動運転のように膨大な動画の計算処理に現状実用レベルで普及しているうち最も適した技術がGPUという事でNVIDIAが急浮上している経緯がある。最初からAIだ自動運転だと言っていた会社では全くない。また上記の通りその分野の売上も未だ小さい。一方で画像処理に限らず膨大なノードの並列計算を要するAI(ディープラーニング)全般にも同じことが言えるので、クラウドサーバやスパコン等の導入も進んでおり同社の業績を牽引している。

 

中国生まれで幼少で台湾に移民、15歳で米国に家族と移民したチャイニーズアメリカンの黃仁勳(ジェン スン ファン)によって1993年にNVIDIAは創業された。ちなみに私は1999年くらいに某案件にからんでエヌビディアの調査をしたことがあったが設立数年に満たない当時はまだ業界人のみが知っているほぼ無名の会社で、AIのエの字も関係ない産業用途向けの地味な画像処理屋さんであった。

その後AMDとの熾烈な戦いなど紆余曲折を経て設立四半世紀を目前にしてようやく花咲きつつある会社である。

昨年の売上高は$6.9ビリオンで約7千億円、利益(EBIDAベース)は1.7ビリオン、約2千億円弱の高収益企業である。

本日現在の時価総額が82ビリオンと約9兆円。

日本でいうと4位の三菱UFJ、5位ソフトバンクあたりと同水準の企業価値となる。

 

nvidia stock price chart

エヌビディア株価推移 出典:Google Finance

ご覧の通り過去7-8年20ドル前後でほとんど変わらず推移していたのが、昨年2016年に極端に跳ね上がり7倍の140ドルを伺う青天井となっている。PER(株価収益倍率)は46倍と、通常のテック企業よりはやや割高である。

これはざっくり、既述の通り利益が年率2.5倍で成長モメンタムにあるというファンダメンタルズ要因が半分、AI期待というセンチメント要因半分といったところだろう。

 

では今後ともNVIDIAが盤石かと言えばYes and Noであろう。

次世代フロンティアテックのど真ん中である当該分野はメガ各社からスタートアップまでが虎視眈々と狙っている。

その最有力と言われるのがGoogle のTPUである。同社発表ではGPUの30倍速く、30倍電力効率が良いという。

Googleのもともとの要素技術は実はサーバである。膨大な検索クエリを秒速でさばくためには安くて加熱しづらいサーバが大量に必要だったが、そんなものは存在しないから自ら製作した。ちなみにその1号サーバは今でもスタンフォード大学に飾られている。という事でもともと同社のDNAとして当該分野は得意領域である。

Googleは自動運転からクラウド系まで自らサービス主体者である。それゆえ今のところTPUを外販せず自社用途のみとしている。

私は目下のAI関連動向においては、この点に最注目している。

TPUが次世代AIチップの本命か、Yesだとしてそれを外販せずGoogleのみが使い続けた場合にどのような世界になるのか。Googleが神のごときポジションを更に推し進めて頂点に君臨する世界か、それともNVIDIAなどサードパーティーベンダーとApple、フェイスブック、アマゾン、アリババのバトルロワイヤルが引き続き継続するのか。

 

またここにおいても注目すべきはアジアである。

本日の米グーグル、中国でAI人材を採用との報道にも象徴されるように、中国はもはやAI先進国である。例えばスパコンは世界一位を2年連続取っている。

またインドはこの手の事がニュースにならないくらいAI人材の世界最大の輩出国である。

向こう数年で中国、インドから世界を席巻するAI銘柄が出てくるだろうし既にその青田買いは現場で進んでる。