私は常々「人間が想像できるものでありさえすれば、何でも実現する」と思っている。

逆に、それまでは想像だにしていなかった事が突然起こった、という事は技術や産業の歴史上おそらく無いのではなかろうか。

 

古今東西 「次に来る分野はこれだ」 という未来予測に人は熱狂するものだが、問題はその時間軸である。

来年なのか、5年後なのか、10年たっても不確実なのか。

極端な話、タイムマシーンだって「来る」のである。人類が滅び無い限りいつかは、という条件付きでさえあれば。

時間軸こそが全てと言っていい。ゆえに時間軸を明言せずして「これから〇×がくる」と言ってみたとてほぼ無意味であり、しばしば害悪ですらある。

 

AIブームは3度目であり、30年前のロボットブームではIBMやGEら大手が参入しては立ち消えAR(拡張現実)も殆ど似たようなコンセプトでつい10年前に大流行して華々しく散ったものもあればヘルステックだってGoogleやマイクロソフトですら何度もトライしては失敗している

自動走行車どころか空飛ぶ車も不老不死も何もかも、遥か何十年も前からそのコンセプトのみならず、まじめに取り組んでる技術者も存在してきた。

 

「次に来る」と言う場合、その実証実験に成功するという意味か、それらに取り組む企業が増えたり、それらへの投資が増えるという意味か、あるいは人々の生活や経済活動に意味のある水準で普及するという意味か、普及しても儲からなければ続かない、そうではなくてそれにより産業や個別企業単位で投資採算に見合うという意味で言っているのか。それらによって意味が全く違う。

 

さて時間軸を判断する上で参考にすべき重要な点の一つは、その分野に主に資金を提供しているのが誰であるか、という点だ。
Google、Facebook、Amazon e.t.c… このような大手の事業会社は実に多くのR&D投資を行っているが、大事なことは彼らの時間軸は「永遠に近いほど長い」という事だ。

10年でもそれ以上でも耐えられる。もっと言えば、少々の失敗などへでもない。

ゆえに、「GoogleやFacebookが注力しているのだからこの分野が次に来るに違いない」という事には必ずしも(むしろ多くの場合は)そうならない。

 

もちろん、日本と違ってのれん代償却ルールが無い米国企業とはいえ、実勢体力を極端に超える投資を永遠にやり続けるわけにはいかない。
とはいえ国家予算レベルの収益やキャッシュや時価総額を有する彼らなら、企業価値の10%をR&D投資に振り向けるだけでも10兆円単位の投資余力があるのだ。不確実性が高く時間軸が長いが当たれば次世代を征する可能性のあるR&D投資に積極的になるべき正当な理由が彼らにはあるのであって、逆に言えば彼らにしか無い。

世の中実にたくさんの「未来予想」が出回るわけであるが、それらに出くわしたときに上記のとおり「時間軸を数値で必ず考える」事を習慣化すれば、大きく見まちがう事は無いように思う。

 

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