2013年 年頭所感

Rebright Partners Pte Ltd.

新年あけましておめでとうございます。
皆様のおかげをもちまして、今年も無事に新年を迎える事が出来ました。

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昨年は、数えてみたら55回のフライトと、115泊のホテル暮らしで、東南アジア各国と米国を飛び回った。
年初の目標として情報発信量を上げる事に意識を高く持って、インドネシア、シンガポール、ベトナム、米国においてスタートアップイベントなどで、パネルディスカッションやメンタリングセッションに何度も登壇した。

国内でも東南アジアへの関心の高まりとともに、各種イベントにお声掛けいただく機会が増えた。

おかげさまで、投資案件に有益なネットワーキングや、東南アジアに興味関心をお持ちの日本企業様との繋がりが、大いに強化された。

一方で、昨年の後半あたりからは投資案件の詰めの作業に没頭する事が多かった。

このように、集中的に「こもって」仕事をする時期と、積極的にイベント等に顔を出しスピーチに登壇するような対外的な「露出」の時期とを、それなりにバランスできたように思う。
弊社のようにインディペンデントで小規模なVCは、情報網や幅広い事業基盤を持つ大手系列などとは異なり、そのバランスが大切だと、日頃考えている。
今年もその点に留意して効率的に動こうと思う。

さて、今年一年を見通すにあたり、この年末年始の大手新聞各紙の報道が、極めて象徴的だった。

毎日新聞の大晦日の一面トップ記事はこれだった。

インドネシアで「セカ就」する若者

日経新聞は元旦の一面トップにこれをもってきた。

世界の5割経済圏、沸き起こる中間層 2050年にGDP8倍
アジア跳ぶ(1)

大手新聞の1年の締め括りや始まりに、軒並み「アジアの隆盛」がトップ記事で語られているのである。

これはまさに、数十年に一度の地殻変動といって良いのではなかろうか。

90年代のIT革命は主に日米欧の先進国の全産業を劇的に効率化した。
その後から昨年あたりまでは、中国の爆発的成長の恩恵を世界経済全体が被った。
そしてこれからは、東南アジアを中心とした汎アジアの爆発的成長へと、世界経済のジオグラフィカルなウェーブがシフトしてきている。

それについては、もはや語るべくもない「定説」として定着しつつあると言って良いのではなかろうか。
上記のような大手メディアの象徴的な報道は、その事実にダメを押した格好であろう。

もっとも、
この状況を冷静に見ると「Peak of inflated expectations」、つまりハイプカーブ理論でいうところの「過度な期待期」という事も、後々に言われる事はあるのかもしれない。
期待が早すぎたり、過度であったりするならば、それはやがてはいったん、失望を生む。そしてその後に試行錯誤の浮き沈みを繰り替えしたのちに、安定的な成長期へと向かう。

弊社では「過度な期待」とも、「失望」とも無縁に、ハイプカーブの激しい浮き沈みのS字ではなく、着実に伸びる成長線を信じて2年前からこのアジアの市場で種をまいてきたつもりであるし、今後とも邁進していくつもりである。

そのために今年は、昨年まで蒔いてきた種を着実に刈り取るべく

・昨年後半に仕込んできた投資案件の着実なクロージングを行い、ポートフォリオの中核企業の数を増やす事、
・新たな御協力者の開拓と、既存の御協力者各位との更なる深い連携を行う、

この2点に注力していく所存である。

あえて幅広に「御協力者」としたのは、曲がりなりにもここまで来れたのは、様々な方々のご協力やご指導の賜物であり、それ無くして今後の発展もあり得ないためである。
もちろんその中には、一年の半分近く家を不在にしているにも関わらず、いつも支えてくれている家族も含む。彼女たちには深く感謝している。

皆様、本年も引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

2013年 初春 蛯原 健