リブライトパートナーズ、インパクト評価基準と環境・社会マネジメントシステムを 導入したファンドをJICAと提携して運営
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弊社が運営するインド・東南アジアのDXスタートアップ向け投資をテーマとしたベンチャーキャピタルファンド(以下、本ファンド)に独立行政法人 国際協力機構(以下、JICA)が本ファンドに出資のうえ組合員として参画するとともに、JICAの協力を得て本ファンドの投資前判断に世界銀行グループの国際金融公社(IFC)をはじめとする国際機関の基準に基づいた環境・社会マネジメントシステム(以下、ESMS)[1]を新たに導入し投資先スタートアップが自然環境や社会に与える潜在的リスクの認識・緩和のための包括的なデューデリジェンスを実施する事を発表いたします。
また、本ファンドはJICAと協力して独自にインパクト評価基準[2]を導入し、投資先スタートアップによる現地の雇用創出数や医療アクセス向上、教育アクセス向上、労働者の技能・スキル向上など、社会に対するポジティブインパクトを定量的に目標設定および継続的モニタリングを行って参ります。
以上により、本ファンドは成長著しい新興アジア地域のDX型スタートアップへの投資による経済的リターンを引き続き第一義として追求する事はもとより、それに加えてアジア新興国における社会問題をDXにより解決する事で同地域における脱炭素をはじめとする環境保全や金融包摂、医療や教育へのアクセス向上等の社会貢献に寄与するインパクト投資を実施していく事となります。
本ファンドには株式会社三井住友銀行、横河電機株式会社、三井住友海上キャピタル株式会社(運営ファンド)、佐々木食品工業株式会社、エラン株式会社、テクマトリックス株式会社、ら日本の事業会社や金融機関も複数(非公表も含む)が参画しております。今回の取り組みにより当社は、これらファンド組合員である日本企業と本ファンド投資先新興アジアのスタートアップとの間におけるDX並びに環境・社会インパクトのテーマでの連携を益々促進して参ります。
なお本ファンドでは、既にインド・東南アジア地域における医療、農漁業・フード、教育、人材開発、物流・サプライチェーン等の領域で事業を展開するスタートアップ7社への出資を実施済みです。
リブライトパートナーズ株式会社 代表取締役 蛯原健からのコメント
10年以上に渡り新興アジア地域の投資育成に携わって参りましたが、今般その取り組みを更に加速させるべく、JICA様の御協力のもとアジアの環境及び社会に対する寄与貢献をミッションとして明確に位置付けたうえでインパクト投資に取り組む運びとなりました事を大変喜ばしく思うと同時に一層身の引き締まる思いです。
いまインド・東南アジアのデジタル経済圏の勃興とそれを担うスタートアップの台頭は目を見張る規模とスピードを見せております。日本企業、日本経済の発展の為にも、両地域が手を組んで環境・社会に対するポジティブインパクトをもって共栄に繋がる一助となりますよう、両地域の媒介役たるゲートウェイVCとして、今後とも専心努力してまいる所存です。
国際協力機構(JICA) 理事 中澤慶一郎 様 コメント
JICAは開発途上地域の社会経済開発を支援する上で、スタートアップ企業の役割に注目しており、これまでプロジェクトNINJA[3]等を通じて、開発途上国におけるビジネス・イノベーション創出に向けたスタートアップ支援活動を行って参りました。とりわけ、新たな産業創出により雇用を生み、かつ伝統的な手法では十分なサービスを享受できなかった層への新たなアプロ―チによるサービス提供が可能となるDXに着目しています。
この度、リブライトパートナーズ株式会社様のファンドに出資参画させて頂きますが、これはJICAでも初めての開発途上国におけるDX企業に特化したファンド投資となります。今後、同社や同ファンドへの他の投資家様、ファンドの投資先のスタートアップ企業様と共にアジア新興国におけるDXを通じた社会課題解決に取り組んでいけることを大変嬉しく思うとともに、JICAは、リブライトパートナーズ株式会社様との連携を通じて得た知見・ネットワークを活かして、今後も新興国において社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業・ファンドへの支援を継続して参ります。
【写真提供:JICA】*2021年10月29日調印式記念撮影の様子(於:JICA竹橋オフィス、東京都)
(左):民間連携事業部部長兼中小企業支援室長 原 昌平(右)リブライトパートナーズ株式会社 代表取締役 蛯原健
以上
[1]ESMSとは、ファンドの投資先事業による環境・社会に対する影響やリスクを予め分析・評価し、必要に応じて環境・社会への負のインパクトを最小化するための国際金融公社(IFC)が策定したガイドラインです。(例えば、CO2を大量に排出する事業や現地住民への悪影響がある事業には投資しない等)
[2]インパクト評価とは、本ファンドとJICAが共同策定した投資先企業の裨益者数/人数、雇用創出数等の主要KPIについての開発効果測定指標を用いた、ファンドの投資先事業による環境・社会への正の影響を定量的に可視化、評価する取り組みです。
[3] プロジェクトNINJA(Next Innovation with Japan)とは、JICAによる開発途上国におけるビジネス・イノベーション創出に向けたスタートアップ支援活動。2020年11月には、日本経済新聞社と共同でビジネスコンテストを主宰、アフリカ19カ国の2700社以上を対象にビジネスプランを審査し、その中から選抜された10社によるピッチイベント・セミナーを開催した。